引用:『星の王子さま』(ゴマブックス株式会社) 星を転々とする王子様が、5番目の星で出会った点灯夫。 この星は1分間に1度回転するため、その点灯夫は1分間のあいだに火を点けたり消したりしなければならず、休む暇がありません。 『星の王子さま』(原題 le petit prince)はサン=テグジュペリが1943年にニューヨークで出版した本です。世界中で翻訳され、愛されている本です。 日本でも複数の出版社から翻訳され映画にもなっています。 今回はこの星の王子様のあらすじをまとめました。 アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ~星の王子様~ / 大島 めい, 村上 彩, 村山 美樹 45 隠されている作者のメッセージを読み解いていく事にする。 2.1節 『星の王子さま』あらすじ この作品は世界200以上の国と地域で出版され、世界で1億5千万冊も売れた大ベストセラーなんです。, 日本でも様々な出版社と翻訳家によって、出版・翻訳されているので、いくつか種類がありますね。, そうして自分の星には一輪しかなかったバラが、実はどこにでもある普通の花だったことを知る。, その後、キツネと友達になった王子さまは、もう一度何千本も咲いたバラの花を見に行くことをキツネにすすめられる。, 王子さまと一緒に井戸で水を飲み終えた「ぼく」は飛行機の修理のために、王子さまと一旦別れる。, 自分の星が遠すぎて、からだを持っていくことができない王子さまは、ヘビに咬まれるという形で星に帰っていきました。, だいぶざっくりとポイントを絞って、あらすじ・内容・ストーリーをざっくり説明しました。, そうしたら「しくじり先生」というテレビ番組で、オリラジの中田あっちゃんが超分かりやすい説明をしていたんですね。, 「星の王子さま」は王子さまの話を、パイロットの「ぼく」がずっと聞いているという形式で話が進んでいきます。, 時々「ぼく」は王子さまの話がうざったくなるのですが、その態度を見て王子さまは逆ギレしたりするんです(笑), オリラジ中田さんの解説でいうと、これら6つの星は「人が人生で溺れがちなものの象徴」だそうなんです。, 地球に来た王子さまは、バラが何千本も生えているのを見て、ごく普通の花であることを知ります。, でも、同じバラであっても自分の星に咲いたバラが、何千本ものバラとは全然違うことにも気づきます。, 中田さんの解釈は「愛情」。 『星の王子さま』(原題 le petit prince)はサン=テグジュペリが1943年にニューヨークで出版した本です。世界中で翻訳され、愛されている本です。 日本でも複数の出版社から翻訳され映画にもなっています。, 子供の頃は絵の大好きな少年でした。 6歳のころに描いた、ゾウを飲み込んだウワバミ=大蛇の絵。 でもどこからどうみても、帽子か何かの袋か。 とても像を飲み込んだ蛇とは想像つきません。, これが象を飲み込んだ蛇? そんなのわかんないよ。そんな絵を書いてないで勉強しなさい。, 大人には理解してもらえず、絵を描くことをやめてしまった主人公。 分かり合えない気持ちを抱えたまま大人になり、やがてパイロットとなります。 ところが、あるとき、アフリカのサハラ砂漠に不時着してしまいます。 飛行機は故障し水も限られています。, 絵を書いてくれと頼む少年にうわばみの絵を見せたところ 「象を飲み込んだ大蛇の絵」だと、説明しなくても理解してくれたのです。 驚く主人公。 次第に少年と心を通わせるようになります。, 王子様の住んでいた星にあったのは3つの火山と、大きくなると星を壊してしまうバオバブの木。, 王子さまにとってバラはとても美しく、かけがえのない存在になりました。 水をやり、風に当てないように大切に手をかけ、世話をします。 けれどもバラはプライドが高くて気まぐれ。 傷ついた王子さまは一緒にいることが辛くなってしまい、自分の星を去ることにします。, 小さくてか弱いトゲでは自分を守ることもできないバラ。 強がってばかりいたバラに心を残しつつ、王子さまは他の星へと向かいました。, 1つ目の星は、「王様」の星。 小さな星に、王様がたった一人で住んでいました。 自分の権威を守ることしか考えていない王様。 人間の権力にとらわれる姿の象徴とも言えます。 「大人っておかしいとつぶやき、王子様は次の星へ出発します。, 2つ目の星は、「うぬぼれ屋」の星でした。 自分以外の人は、自分を褒め称える存在としてしか考えていないうぬぼれ屋。 名誉欲や虚栄心と言った人間の欲求の象徴とも言えます。 大人っておかしいなと思い、王子さまは、その星も後にします。, 3つ目の星は、「大酒のみの男」が住む星でした。 自分がしている事すべて恥ずかしいという男。酒を飲み、飲むことが恥ずかしいから、それを忘れるためにまた酒を飲むという悪循環です。 快楽や犯罪など人が陥りがちな心の弱さの象徴とも言えます。 王子さまは大人って本当におかしいんだなとつぶやきながら、その星を去ります。, 4つ目の星には「実業家」が住んでいました。 彼は空にある5億個の星を「数え」、銀行に預けたりして「所有する」だけでした。 所有欲や金銭欲など欲望そのものの象徴する実業家。 どんなにたくさんの星を持っていてもただ管理しているだけなら何の役にも立っていないと思う王子様。 王子さまはたった一つの花に毎日水をかけ、三つの火山も掃除していました。 自分が持っていたことで、これらにも役に立っていたのだと思った時、やっぱり大人っておかしいなとつぶやきながら、王子さまは旅を続けます。, 5番目に訪れた星は、とても小さな星でした。 その星には、1本のガス灯と、そのガス灯を管理する「点灯夫」が一人住んでいるだけの大きさしかありませんでした。 一分間に一度明かりをつけたり消したりして、絶え間なく働き続ける男。 労働や勤勉さは必要な要素ですが、自分自身を犠牲にするような働き方は心をすり減らしてしまうばかり。 誰かのために一生懸命になっている点灯人は、それまでの4人とは違うと感じた王子さまでしたが、その星に留まり続けることはできないので旅を続けることを決めます。, 6つ目の星は大きな星でした。 そこには「地理学者」が住んでいました。 自分では探検せず、自分の星に何があるのかもしりません。 他の土地のことについては探検家の報告をまとめるだけの地理学者。 花はやがて消えてしまうものだから記録には残さないと言う言葉に、自分の星と、残してきたバラへの気持ちが掻き立てられました。 形あるものばかりに目を向けがちな大人そのものかもしれません。, 後に出てくるキツネの言葉、目に見えない大切なもの、というのは作品全体の一つのメッセージとも言えるでしょう。, 地球のサハラ砂漠に降り立った王子。 そこで蛇に出会います。 蛇は王子に予言めいた、不思議な言葉を語りかけます。 自分が触ることでその人を大地へ返すことができる。 もし王子さまが自分の星へ帰りたくてたまらなくなったら自分が助けてあげよう、と。 その後、王子は高い火山を見て、自分の星の火山の小ささを知ります。 また、数千本のバラの咲いている庭にたどり着きます。 あなた達は誰と驚く王子さま。 自分の星のバラが宇宙でたった一つのものだと思っていたのに、地球ではこんなにもありふれた薔薇という花だった。 自分が持っていた火山もバラもちっぽけなものだったと悲しくなる王子。, 泣いている王子のところに、キツネが現れます。 遊ぼうよという王子に「まだ遊べないよ」と答える狐。 「なじみにならないと(apprivoiser)遊べないよ」といいます。 apprivoiserというのは「飼いならす」「手なずける」という意味ですが、王子さまときつねの関係では飼いならすというよりももっと複雑な意味が込められています。 それは人と人とのつながり、絆のようなもの。 今のままではお互いに他の何十万人もの子供や何十万匹もの狐の一匹と違いはない。けれどお互いに絆を結んだならば世界で唯一のかけがえのない存在になることができると教えてくれました。 相手を思い出す「よすが」、足音や王子さまの髪の色に似た金色の麦の色を見るだけで相手を思い出す。 そうしたらどんなに人生が変わってくることだろう。, 友情の絆を結んだキツネとも、別れの時がやってきます。 キツネは言います。 「僕はきっと泣いちゃうよ」。 でも、絆は決して無駄ではないと続けます。 別れることになっても、金色に輝く麦の色を見て、金髪の君を思い出すことできるようになったと。だから何も得ることができなかったわけじゃないと。, もう一度庭に入ってたくさんの薔薇を見た王子様。 自分のたったひとつの大切なバラとは全く違うことに気づきました。 外見は君達に似ているかもしれないけれど、君たちみんなよりずっと大切なんだ。 だって僕が水をかけ、ガラスのカバーをかけ、毛虫を殺し、話も聞いてあげたんだから。 なぜならそれが僕のバラなんだから。, 王子は狐にお別れを言います。 お別れだね、とキツネは言います。 キツネは王子に秘密を教えてくれました。, 飛行機を修理するかたわら、こんな話を王子から聞いていた「主人公」。 墜落から一週間が過ぎたある時、「僕」は王子さまが地球に来て明日で1年になると教えられます。 翌日、奇跡的に飛行機が直り、「ぼく」は王子に知らせに行きます。 すると、王子は誰かと話をしていました。 今日だけれど場所はここではない、今晩そこへ行くと話をしています。 良い毒を持っているねという言葉も。 主人公が見た、王子の足下にいたのは蛇でした。 王子が砂漠にやってきたのは、1年前と星の配置が全く同じ時に、自分の星がちょうど真上に来る場所に来ること。 そこでヘビに噛まれることで、重くて持って行けない身体を置いて自分の星に帰るためだったのでした。 別れを悲しむ「ぼく」に語り掛けます。, 「きみは夜空を見上げて、星全部を眺めるのが楽しくなる。 全ての星に花が咲いたようになる。 その星のどれかの上で、ぼくが笑っていると想像すれば良い。 そうすれば、君はすべての星が笑っているように見えるはずだから」, 星が何億もの鈴のようになること、 王子さまは花に対して責任があること。 そう話している時、 王子はヘビに噛まれて砂漠に倒れました。, 自分の星に帰った王子さま。夜空に輝く星のどこかで王子さまが笑っているのだろうと考えると、夜空は笑顔で満ちているようですね。もし王子さまが悲しんでいたら、星々がみな、涙でいっぱいになっているかのように見えてしまいます。, アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-exupery) 『星の王子さま』の作者であるサン=テグジュペリは 1900年生まれ。 フランス人の貴族の出身です。, 21歳の時にフランス空軍に入隊。23歳で群を止め、26歳の時に小説処女作を発表。同時に航空会社に就職し、飛行士として多くの国の空を飛び、小説家としても活躍していました。 1935年、飛行中にサハラ砂漠に不時着。この時の経験をもとに星の王子様が生まれたと言われています。 1939年第二次世界対戦が勃発。サンテグジュペリも召集を受けます。 しかし1940年、フランスは休戦が調印され、彼はアメリカへ亡命します。 43歳の時、 彼は再び軍隊で働くことを決意。空軍パイロットに戻ります。 そして 、基地を飛び立ったまま消息を絶ちました。 象を飲み込んでしまう大蛇や大きくなって星を壊してしまうバオバブの木には、ナチスドイツや軍国主義などの侵略、第二次世界大戦の時代背景が込められているという解釈があります。, その他、この本自体が危機に瀕している世界にとっての癒しの場であるという解釈、 そして物語に出てくる大人達が象徴している価値観や金銭感覚への諷刺、 など 読む人一人一人の解釈によって自分の星の王子さまの世界を作り上げることができるのも作品の大きな魅力です。 ※日本語の書名である『星の王子さま』は、岩波版の翻訳者である内藤氏によるもので、原題の直訳ではle petit prince『小さい王子』です。, ほんの冒頭に出てきた、ゾウを飲み込むほどの大蛇、ウワバミ。 でも王子様をかんだのは、細い、輪のような蛇でした。 大きな像すらも飲み込む大蛇は帽子に間違われる始末だったのに、 強力な毒をもっていたのは細い蛇の方だった。 本当の毒は、そんな砂漠の砂の中のような、隠れたところに潜んでいるのかもしれません。, 最初は小さな芽だったバオバブが、大きくなって星を壊してしまうように。 ひっそりと芽を出し、成長していく得体のしれないものへの警鐘なのかもしれません。. サン=テグジュペリは操縦士として戦争に参加していました。敵側には作品のファンもいて、彼がいる部隊とは戦いたくないと言う者までいたそうです。, しかし第二次世界大戦中に偵察へ向かい、サン=テグジュペリはそのまま行方不明となりました。, そんな敵までも魅了したサン=テグジュペリが描く星の王子さまのあらすじとは、いったいどのような内容なのでしょう。, 飛行機乗りのぼくはサハラ砂漠に不時着し、一週間分の水と食料しかない中、夜を過ごすことになります。, 次の日、ある少年と出会います。その少年と話すうちに、ぼくは彼がある小惑星の王子であることを知るのです。, 王子はある小惑星で一輪のバラを大切に育てていましたが、王子はバラと喧嘩をしてしまいます。そしてそれをきっかけに、色んな星を旅してこの地球に来たのでした。, 王子が旅をした星には、自分の対面ばかりを保つ王や、自分に良い言葉しか聞こえない自惚れ屋、酒を飲む事を恥じてその事を忘れるために酒を飲む呑んべえがいました。, その他にも星の所有権を主張する実業家や、1分ごとに自転するからと、1分ごとに点火や消火を行う点火夫など、変な大人ばかりがいたのです。, 地球に着いた王子は、星に残してきた花が特別だと思っていたのに、そこらにいっぱい咲くバラを見て、自分が特別だと思っていたものはありふれたものだと泣きます。, そこへキツネが来たので、王子は気晴らしに遊んでくれと頼みますが、キツネは仲良くならないと遊ばないと言います。, キツネが説明する「仲良くなる」とは、沢山の中で絆を深める事であり、他の同じ物とは違う特別になるという考えでした。, キツネと別れる時、すでに仲良くなっている事に気づいた王子は、キツネから大切なものは目に見えないという秘密を教わるのでした。, 井戸を見つけて飛行機の修理が終わったぼくに、ヘビと話していた王子は、1年前と星の位置が同じ時、ヘビに噛まれる事で小惑星に帰れるという説明をします。, しかし夜空を見上げ、星が笑っている時は王子は笑顔で、星が泣いている時は王子も泣いているのかもしれないと思う事で、王子との時間を大切に思うのでした。, 星の王子さまは、子供の頃はあまり意味が分からなかった記憶があります。しかし大人になってくるにつれて、段々と心に沁みるようになってきました。, 今では、大切なものは目に見えないという事を教えてくれる心温まる物語だと思っています。, 王子が他の惑星で出会ったこっけいな人たちは、いま大人である私たちにとって、とてもリアリティを感じさせる人間模様ではないでしょうか。, 誰もが子供だった記憶はあるのに、子供の頃の気持ちをすっかり忘れてしまっている大人こそ、「星の王子さま」は読むべき作品だと感じます。. たった1時間でやりたいことが溢れ出る感動の雑談!>, 働くのが夢だった大企業で人事になるも「やりたいことがわからない」で約3年悩むも、ひょんなことからコーチングを受講。, 「やりたいことがわからない」を解決するプロとして、コーチングのプロコーチをやりつつ、ネパールでの事業を準備中。. 星の王子さまのあらすじを簡単に。砂漠で不時着したパイロットのぼくは、小惑星からやってきた王子と出会います。王子は様々な惑星を旅して色んな人たちに出会うのです。そんな風にしてキツネと出会った王子は、大事なことを教わります。 「一日じゅう、きみみたいにくり返していた。『大事なことで忙しい!私は有能な人間だから!』そうしてふんぞり返ってた。でもそんなのは人間じゃない。キノコだ!」, 『星の王子さま』は、サン=テグジュペリによるフランス文学です。第二次世界大戦中の1943年に出版されました。, 挿絵付きで子どもでも読める優しい文章ですが、内容は大人にこそ突き刺さるものとしてよく知られています。, ちなみに挿絵のイラストはサン=テグジュペリ本人が書いたもので、絵も作品の重要なテクストとして楽しむことができます。, ここではイラストを中心に、『星の王子さま』の考察をすすめていきます。まずはあらすじからみていきましょう。, 主人公の「ぼく」はパイロットですが、機体の故障でサハラ砂漠に不時着します。そこで「ぼく」は麦色の髪をした王子さまと出会うのです。, 王子さまは「ぼく」に向かってこれまでの旅の出来事を話しはじめます。これまで行ったへんてこな人たちのいる星々の話、自分が住んでいた星の話、そこで一緒に居たバラの話、地球で出会ったヘビの話、大勢のバラの話、キツネの話、、、。, 「ぼく」は王子さまが行かなくてはならないことを知り悲しみますが、そんな「ぼく」に王子さまは「夜になったら星をみてね」と言い残します。, それからというもの、「ぼく」は星を見るたびに王子さまを思います。そして夜空は「ぼく」の気持ち次第で、悲しい顔にも笑った顔にもなるのです。, 『星の王子さま』の魅力のひとつが可愛らしく優しいタッチで描かれたイラストにあることは間違いないでしょう。, 冒頭でも触れましたが、このイラストは全て作者であるサン=テグジュペリによるものです。, 作中でも王子さまに批判されているように、残念ながら大人というものは何につけても説明が必要で、想像力に乏しい人が多いのかもしれません(間違いなく僕もそのうちの一人でしょう)。, そうした想像力を補い、作品を味わいやすくするひとつの要素としてもイラストは効果的にはたらいています。, 作中でバオバブは悪い木として描かれていて、種を少しでも放っておくと星を覆い尽くしてしまいます。, だから、王子さまはこのバオバブが生えてこないか常に心配していなければならないのです(ちなみにこのイラストはなまけ者の星で、芽を摘まなかったためにバオバブに覆い尽くされてしまった)。, 通常、バオバブは根を絡ませて育つ植物ではないので、作者が意図的に絡ませたということになります。, これは、悪い木が三本絡まり合いながら一つの星を壊すという構造から、当時の第二次世界大戦と重ね合わせて、ドイツ・日本・イタリアが世界を壊してしまうことを表しているという説が一般的です。, 一方で、バオバブの種は人間の悪徳を象徴していて、環境破壊に代表されるように、人間の悪い部分が大きくなると地球を破壊してしまうことにつながるということを表しているとする説もあります。, いずれにしてもそれらの説をこのイラストが支えていることは間違いないでしょう。このように、イラストは作品を深く読み解く手がかりとしてのはたらきも担っていることがわかります。, これらについて独自の解釈を考えることは楽しい作業です。そしてそれは自由であっていいと思います。, このイラストはこんな意味だろうか?これはなんでこう書かれているんだろう?そういう疑問を持ってあなたなりの読みを深めてみてはいかがでしょうか?, 星の王子さまというキャラクターは世界中で愛されています(世界中の発行部数は2億冊を超えるといいます。すごい)。, イラストから分かるように、このマフラーは基本的にはピンと上を向いて描かれています。これはほとんどの場面でそうだと言えます。, 一方で、そうでないのは下に載せた地球に降りたった場面です。王子さまの心境を表すかのようにしょぼんと下を向いているようにも見えます。, 上の3つの場面のうち、ラストシーンでもある一番右の王子さまが倒れる場面は特に興味深いです。, なぜなら、同じ場面である一つ前のイラストではマフラーを巻いていたのにも関わらず、次の場面ではマフラーがなくなっているからです。, その答えとして、マフラーを王子さまの「魂」だとする説があります。王子さまの魂がなくなったから、マフラーも同時に消失したのだという論理です。, たしかになるほどと思うのですが、その説では惑星や草の上にいる王子さまのイラストで、マフラーをつけていない理由が説明しづらいかもしれません。, もちろんそれだけではありません。それを今から少し詳しく説明していきたいと思います。, 上に載せたイラストへ左から順番に「孤独」・「喪失」・「死」というタイトルを付けることは的外れではないでしょう。, 左の「孤独」のイラストはひとりぼっちの王子さまで、中央の「喪失」のイラストは、バラが王子さまの星以外にもたくさんあることを知ったときの一コマです。, 右の「死」のイラストは、王子さまが倒れる場面で、このあと王子さまはいなくなってしまいます。, 「孤独」「喪失」「死」、なんだか暗いイメージですね。これらのイラストに共通するのは、一般的にみて人生の悲しみだといえます。, だから、身を守る役割であるマフラーは描かれない。その証拠にマフラーを着けていない王子さまは無防備で、表情はどこか弱々しく見えます。, では、王子さまはそれらの悲しみをどうやって乗り越えているのでしょうか?それを少しみていきましょう。, そしてそのキツネは王子さまに「きずな」のことを教えてくれるのです。王子さまが「孤独」から解放されていく中で、キツネは言います。, 「おいらにしてみりゃ、きみはほかのおとこの子10まんにんと、なんのかわりもない。きみがいなきゃダメだってこともない。(中略)でも、きみがおいらをなつけたら、おいらたちはおたがい、あいてにいてほしい、っておもうようになる。きみは、おいらにとって、せかいにひとりだけになる。おいらも、きみにとって、せかいで1ぴきだけになる……」, 王子さまはこれを聞いて、一時は数ある中の一つだと思ったバラをこの世で一本のバラであると再認識します。, これは、王子さまが「喪失」していたバラを「再獲得」することで、喪失を乗り越えている表現になっています。, 物語の最後には、王子さまの肉体は死を迎えます。しかし、こうした「きずな」の考え方によれば、王子さまは「ぼく」や私たちの中で生き続けているといえます。, つまり、王子さまは「孤独」や「喪失」や「死」といった悲しみを乗り越える存在として描かれているのです。, たしかに『星の王子さま』は切ない物語です。ですが、同時に僕たちは暖かさも受け取ることができます。, なぜなら、作品全体に悲しみがちりばめられつつも、王子さまが成長し、それらの悲しみを精神的に乗り越えていく様子が、寓話と柔らかいイラストをもって描かれているからです。, 子どもの頃の感情を覚えているでしょうか?忘れたくないと思っていた感情も、僕はいつしか忘れてしまっています。, かろうじで覚えているのは、正月やクリスマスなどの行事にともなって沸き起こる浮き浮きとした感情の残滓くらいで、そのわずかな感慨でさえも、もはや記憶にすがってつくり出した別の何かなのかもしれないと最近は思うのです。, 僕が子どもの頃に読んだとき、この場面は爽快だったように思います。けれど、大人になった今もう一度読んでみると、相変わらず王子さまの批判にうなずく一方で、6つの惑星にいる大人たちも少なくない同情・共感を覚えてしまいます。, もっといえば、僕がその大人たちの全部とはいわないまでも、一部になっているという実感すらあるのです。, これはおそらく悲しいことなのでしょう。ですがもっと悲しいのは、僕がこの問題について解決する術を知らないということです。, しかし悲しいだけではありません。この物語は最後にはなぜか暖かくなる、魔法のようなお話だと思います。, このタイトルが良いと思う理由は、本作を読むにしたがって『星の王子さま』という題が持つ意味を変えていくという点にあります。, はじめは「星(を所有しているひととして)の王子さま」からはじまり、つぎには「星(にいる存在として)の王子さま」になり、最後には「星になった王子さま」へと移り変わります。, 内藤濯氏はこのタイトルにそうした魔法をかけました。そしてその魔法には多くの日本人が魅了されているのです。, 25才。近代文学が好き。